災害時、特に大地震ではインフラが途絶え、自宅のトイレが使えなくなることがあります。
そんな時に欠かせないのが非常用トイレです。
具体的にどれくらいの量を備えればいいのか、特に南海トラフ地震などの大規模災害を想定した場合に必要なストックについて詳しく説明します。
非常用トイレの1日あたりの使用目安
災害時にどれくらいの非常用トイレを備えておくべきか、1日あたりの使用目安を把握することは非常に重要です。
1日あたり1人7回が目安
非常用トイレの備えは、1人あたり1日7回が目安です。この数は一般的な排尿と排便の頻度に基づいており、2人家族なら1日で14回分を用意する必要があります。
- 1人の場合: 7回/日
- 2人家族: 14回/日
なぜ7回も必要なのか?
普段の生活では1日あたりのトイレ利用回数が7回もない、という方もいるかもしれません。
しかし、災害時には通常よりもトイレの回数が増えることが予想されます。以下にその理由を説明します。
- ストレスの影響
災害時の不安や緊張が体に影響を与え、排尿回数が増えることがあります。緊張状態では自律神経が乱れ、頻繁にトイレに行きたくなることがあるため、通常より多めに備えるのが賢明です。 - 水分摂取の増加
災害時には脱水症状を防ぐため、通常よりも意識的に水分を多く摂取する必要があります。特に避難生活中では、体調管理のために水分補給が重要です。
これにより、トイレの回数が増えることが予想されます。 - 食事の変化
備蓄食や非常食は、普段の食事とは異なる成分や消化に影響を与えるため、排便回数や質が変わる可能性があります。これもトイレの利用回数が増える要因です。
こうした理由から、非常用トイレは普段の生活よりも多めに備えておくことが推奨されます。
過去の大地震でのトイレ不足問題
大地震が発生すると、上下水道のインフラが破壊され、自宅のトイレが使えなくなることが多々あります。
特に被災地では仮設トイレや公衆トイレの数が不足し、衛生問題が深刻化します。
仮設トイレが不足した事例
過去の大地震では、1か月以上にわたって公衆トイレや仮設トイレが不足した地域がありました。
食事は数日なら我慢できますが、トイレの利用は我慢できないため、少なくとも1か月分の非常用トイレを備えておくことが推奨されます。
自宅トイレが使えるまで数か月
過去の大地震では、特に水道や下水道のインフラが大きな被害を受け、自宅のトイレが使用できない状態が数か月にわたって続いた地域が多数ありました。
また、自宅トイレの復旧までに数か月かかった例もあるため、長期間の備えが必要です。
最低でも1か月分のストックが必要
非常用トイレの備蓄は、最低でも1か月分が推奨されています。この理由は、災害後の初期対応の遅れやインフラの復旧にかかる時間を考慮しているためです。
特に大規模地震では、道路や水道などのライフラインが被害を受け、通常のトイレが長期間使用できない事態が発生することが予想されます。
2人家族なら1か月で420回分
最低でも1か月分の非常用トイレを備えることが重要です。たとえば2人家族の場合、次の計算式で備蓄量を算出します。
- 7回×2人×30日=420回分
つまり、最低でも1か月分の非常用トイレを備えておくには、420回分の処理能力を持つトイレ袋や処理用品が必要です。
この備えがあれば、初期の混乱期を乗り切れる可能性があります。
何故1か月分が最低限なのか?
大規模な地震の後、インフラが復旧するまでに最低1か月以上かかることが多いからです。
特に、下水道の復旧は電気や水道に比べて時間がかかるため、被災地では自宅のトイレが使えるようになるまで長期間かかる可能性があります。
また、避難所や仮設トイレが設置されても数が限られていたり、衛生管理が十分でなかったりするため、こうした施設に頼らず自宅で対応するためには、十分なストックが必要です。
汚れた仮設トイレを避けるなら6か月分の備え
災害時に設置される仮設トイレは、初期の緊急対応として非常に役立ちますが、衛生面や快適さに大きな問題が生じることがあります。
特に、仮設トイレの数やメンテナンスが不足している場合、使いたくても使いづらい、または不衛生な状況になってしまうことが多く報告されています。
仮設トイレの汚れや問題
大地震後の避難生活では、多くの人が避難所や仮設住宅で生活するため、トイレの需要が急増します。
設置された仮設トイレが頻繁に清掃・管理されない場合、次のような問題が発生する可能性があります。
衛生問題の詳細
- 悪臭の発生:
トイレの利用が集中し、清掃や排泄物の処理が追いつかないことで、強い悪臭が発生します。この悪臭は避難所の環境を悪化させ、衛生的に快適な生活を送るのが難しくなります。 - 細菌や病原菌の繁殖:
清掃が不十分なトイレは、細菌や病原菌が繁殖しやすく、感染症のリスクが高まります。特に免疫力が低下している避難者や高齢者、子供にとっては、仮設トイレの使用が健康に悪影響を与えることもあります。 - 紙不足や洗浄設備の不足:
仮設トイレではトイレットペーパーや洗浄のための水が不足しがちで、利用者にとって不快なだけでなく、さらなる衛生リスクを招くことがあります。 - 長時間の使用待ち:
トイレの数が限られているため、長時間の待ち時間が発生することも。これによりトイレを我慢するケースが増え、不快感だけでなく、排尿や排便の健康リスクも高まります。
仮設トイレを避けて起こる問題
上記のような問題が重なると、多くの避難者は仮設トイレの使用を避けたくなります。
その結果、避難者はトイレの使用頻度を減らそうと飲食の量や頻度を減少させ、脱水症状に陥る人が現れるでしょう。
脱水症状になると免疫が低下し、密集した避難所で感染症クラスターが発生する恐れがあります。
また、不衛生で使いにくい仮設トイレは心理的なストレスの原因にもなります。
こうした状況を避けるためには、自宅や避難所で安心して使える非常用トイレの備蓄が非常に重要です。
6か月分の備えの重要性
仮設トイレを使いたくない場合や、設置型トイレの衛生状態が不安な場合、3ヶ月から6ヶ月分(1260回~2520回)の非常用トイレを備えることが理想的です。
この期間は、インフラの復旧や自宅のトイレが使えるようになるまでの余裕を持つための備蓄です。長期的に衛生的で快適なトイレ環境を確保するため、非常用トイレのストックを充実させることが大切です。
- 3か月分: 1260回分
- 6か月分: 2520回分
南海トラフ地震の場合は5040回分⁉
南海トラフ地震のような広域地震では、非常用トイレの備蓄が特に重要です。
非常に広い範囲に甚大な被害をもたらす南海トラフ地震は、被害を受けた地域全体でインフラの復旧が遅れ、自宅のトイレや公共トイレの使用が難しくなることが予想されます。
仮に南海トラフ地震が発生した場合、避難生活が1年以上に及ぶ可能性があり、その間にトイレを使えない日数も長期化することが考えられます。
南海トラフ地震を想定した長期備蓄
南海トラフ地震は、東海地方や四国、九州の広範囲にわたる大規模地震です。
広域地震であるため、救援活動が複数の地域に分散し、インフラの復旧が通常の地震よりも時間がかかる可能性があります。
水道や下水道の復旧が特に遅れることが予想され、自宅のトイレの使用が困難になる期間が長くなる可能性が高いです。
たとえば、南海トラフ地震によって発生する被害の規模から考えると、トイレの復旧まで1年以上かかる地域もあるでしょう。
このような場合、1日7回、2人で5040回分(7回×2人×30日×12か月)の非常用トイレを備えておく必要があります。
これは通常の備蓄に比べて非常に多い量ですが、水や下水道が使えない状態での生活が長期間続くことを考慮すると、これほどのストックが必要となる可能性があります。
- 1年間の備え: 5040回分
まとめ
大地震、特に南海トラフ地震などの広域地震に備えるためには、非常用トイレの準備が不可欠です。
災害時にはインフラが途絶え、自宅のトイレが使用できなくなる可能性が高く、非常用トイレは生存のための重要なアイテムとなります。
1人あたり1日7回の使用が目安とされ、2人家族の場合は1日14回分の備えが必要です。
災害時にはストレスや水分摂取の増加、食事の変化により、トイレの利用頻度が通常よりも増えるため、普段以上の備蓄が推奨されます。
過去の地震では公衆トイレや仮設トイレが不足し、自宅のトイレが使えるまで数ヶ月かかるケースもありました。
最低でも1か月分のストック(420回分)が求められ、特に仮設トイレの衛生問題を避けるためには、3ヶ月から6ヶ月分の備え(1260回〜2520回)が理想です。
南海トラフ地震のような広域地震では、1年分(5040回分)の備蓄が必要となるかもしれません。
このため、計画的な備蓄が重要です。
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